「沖縄の海と伝統楽器の未来考えて」白化サンゴで三線、学生デザイン
白化したサンゴを使った三線と、デザインを担当した京都女子大学の学生たち=2025年4月19日午後4時31分、大阪市淀川区、八百板一平撮影 沖縄の海と伝統楽器を取り巻く課題や現状を知ってほしい――。そんな思いを込めた三線 [...] The post 「沖縄の海と伝統楽器の未来考えて」白化サンゴで三線、学生デザイン appeared first on Japan Today.

沖縄の海と伝統楽器を取り巻く課題や現状を知ってほしい――。そんな思いを込めた三線(さんしん)ができあがった。デザインを手がけた京都女子大学(京都市東山区)の学生たちは「きれいな海や三線を守っていくためのきっかけになれば」と期待している。三線は、沖縄出身の人気バンド「HY」がツアーなどで奏でるという。
完成した三線は、白化したサンゴを塗料や装飾に用いた。さおに塗った漆の上に、サンゴの粉末をまいて、漆を重ねた。サンゴは、植えつけのための陸上養殖の途中で、白化したものだ。
サンゴの白化とは、サンゴと共生している褐虫藻(かっちゅうそう)(植物プランクトン)が失われ、サンゴの骨格が白く見える現象。褐虫藻が戻らないと、サンゴは栄養がとれなくなって死んでしまう。
海水温の上昇などが原因とされ、沖縄の海では大規模なサンゴの白化が確認されているという。
さおの材料となる木材には、入手が難しいコクタンの代わりにモクマオウを使った。三線作りの現場では、材料の不足や職人の高齢化に悩んでいるという。
今回の三線づくりは、こうした現状や課題を発信するきっかけにしようと、工芸作家らが参画する「KOGEI Next」のプロジェクトとして、2024年7月に始まった。京都女子大の前崎信也教授(工芸文化史)のもとで学ぶ学生、沖縄の三線職人や輪島(石川県)の漆芸職人らが力をあわせた。
学生たちは、三線のデザインを考えた。制作資金を集めるためのクラウドファンディング(CF)のウェブページも作った。
三線ができあがったのは25年2月。4月19日にはCFに協力した人らを招いて、大阪市内でお披露目会があった。
京都市から駆けつけた会社員の中村桃菜さん(25)は「華やかで、目を引く、素敵な三線。作り手たちが込めた思いも感じ取ることができた」と語った。
学生たちも三線の音色を聞き、実物を手にとって写真を撮った。
三線の胴に張る蛇皮には、沖縄の伝統的な藍染めを施している。胴巻きには、サンゴが生まれて成長する姿や、白化に苦しむ姿を描いた。絵のなかの魚は、プロジェクトを支援してきたHYのメンバーがデザインした。
胴巻きのデザインを考えた4年の渋谷知瑚(ともこ)さん(21)は「サンゴのことが子どもたちにもわかるように、絵本のようなストーリー性を持たせた」。さおをデザインした佐々木壬(み)るさん(21)は「私たちのアイデアを形にする職人の力、技術のすごさを感じた。いろいろな人に沖縄の海やサンゴ、三線の未来について考えてほしい」と話している。
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