松坂大輔を救った快音 延長17回の死闘に決着を付けたホームラン

準々決勝の延長十七回表2死一塁、右中間に決勝2点本塁打を放つ横浜の常盤(左)と、マウンドにひざをつくPL学園の上重=1998年8月20日、阪神甲子園球場  ゲームセットから27年が経った今なお、快音が耳に残る人がいるだろ [...] The post 松坂大輔を救った快音 延長17回の死闘に決着を付けたホームラン appeared first on Japan Today.

松坂大輔を救った快音 延長17回の死闘に決着を付けたホームラン
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準々決勝の延長十七回表2死一塁、右中間に決勝2点本塁打を放つ横浜の常盤(左)と、マウンドにひざをつくPL学園の上重=1998年8月20日、阪神甲子園球場
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 ゲームセットから27年が経った今なお、快音が耳に残る人がいるだろう。

 1998年夏、第80回記念大会の準々決勝、横浜(東神奈川)―PL学園(南大阪)。延長十七回にわたる死闘に決着をつけたのは、横浜・常盤良太の2点本塁打だった。

 史上5校目の春夏連覇を狙う横浜の総合力と、甲子園で数々の逆転劇を演じたPL学園の底力がぶつかった。

 5―5で延長に入り、十一回、横浜が勝ち越すと、その裏、2死からPLが追いつく。十六回、再び横浜が1点を勝ち越すが、PLはまたも追いついた。夏の甲子園では1969年の松山商(愛媛)―三沢(青森)の決勝以来、29年ぶりの延長十八回引き分け再試合が現実味を帯び始めた。

 十七回、横浜の攻撃は先頭の4番松坂大輔から始まり、2球で2死となった。続く柴武志も平凡なゴロを放った。だが、遊撃手からの一塁送球が高くそれ、三者凡退とはならなかった。これが結果的に常盤の2ランにつながる。

 PLの河野有道監督は一塁側ベンチからマウンドの上重聡に「初球に気をつけろ」と叫んだが、声は届かなかった。

 その初球。外角に構えた捕手のミットよりボールは中へ入った。常盤が完璧なタイミングでとらえると、打球は右中間スタンドへ吸い込まれた。上重は顔をゆがめ、マウンドにひざをついた。

 常盤は当時の取材に「超逆風であそこまで飛んだのは、自分の力じゃない。仲間や応援してくれた人、いろんな力が働いたのだと思う」と語っている。

 そこまで一人で投げてきた横浜の松坂(のちプロ野球西武など)は、常盤の本塁打を見届けると目元を袖口でぬぐった。

 十七回裏、松坂はPLを3人で抑え、横浜は9―7で勝利した。

 何度も崩れそうになりながら、必死にマウンドを守ったエースを救い、勇気を与えた一発だった。

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