家庭内での性被害「助けを求めて」 「時の壁」で訴え退けられた女性

会見を開いた原告女性の代理人弁護士=2025年5月8日午前10時4分、広島市中区、遠藤花撮影  子どもの頃に受けた性的虐待で心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したとして、広島県の40代の女性が70代の実父に約370 [...] The post 家庭内での性被害「助けを求めて」 「時の壁」で訴え退けられた女性 appeared first on Japan Today.

家庭内での性被害「助けを求めて」 「時の壁」で訴え退けられた女性
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会見を開いた原告女性の代理人弁護士=2025年5月8日午前10時4分、広島市中区、遠藤花撮影

 子どもの頃に受けた性的虐待で心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したとして、広島県の40代の女性が70代の実父に約3700万円の損害賠償を求めた訴訟で、女性側は8日、敗訴が確定したことを受けて会見を開いた。

 判決によると、女性は幼いころから中学生まで実父に身体をなめられたり姦淫(かんいん)されたりし、10代後半で苦しくなったり恐怖を感じたりする症状が出た。いったん収まったが、20年以上経った2018年に再び発症しPTSDと診断された。

 広島地裁と広島高裁は、遅くとも20歳ごろに精神的苦痛が生じたとし、女性が提訴した20年時点で、不法行為から20年経つと賠償を求める権利が消える「除斥期間」を過ぎたと指摘。女性側の訴えを退け、最高裁も4月に女性側の上告を退けた。

 この日の会見では、女性のコメントを代理人が読み上げた。コメントの概要は次の通り。

     ◇

 裁判を戦う中で、様々な知識を得て、私自身の生きづらさ、苦しさの根元がわかって、自分の性格や、考え方だと思っていたものが、性被害の後遺症であることがわかりました。私は今も、少しずつ、自分を理解し、気持ちの整理をしています。

 本当の自分を見せず、または隠した状態で、社会に紛れて、普通を装って生きるのは、とてもつらく、苦しく、エネルギーがいります。家族からひどい目に遭って、誰にも言えず苦しんでいる人もたくさんいると思います。

 今回、私の請求が棄却されたことで、「昔のことだとやはり時間切れなんだと判断される」と知って、絶望してしまった人もたくさんいると思います。私自身も、「切り捨てられた」という感覚です。

 感情も知識も追いついていないうちに被害に遭って、ようやく人に話せるようになった時には、「時間切れ」。助けてくれない、誰も救ってくれない。司法の役割は何だと問いたいです。私は、そして他のたくさんの被害者は、やり場のない気持ちと一生生きていかなければいけないのでしょうか。

 でも、絶望はしないでほしいです。

 私が生きてきた時代は、まだ、家庭内での性被害についての情報が少なく、支援もほとんどありませんでしたが、今は、違います。法律も改正され、家庭内で性被害があることは、社会的に認知されています。支援の方法もあります。

 私のように、過去に家族から性被害を受けた人でも、もうどうにもならないと苦しんでいることでも、話をするだけでも少しでも苦しさが変わるかもしれません。一人で悩み、絶望して、悲しい選択をしないでください。どうか、助けを求めてください。

 辛(つら)くても、話をする場があるだけでも、少しは救われます。必ずあなたの味方はいます。

 どうか、助けを求めてください。

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