一見とっぴなプーチン氏の主張 外交発言から見える異形の「平和」

一見とっぴなプーチン氏の主張 外交発言から見える異形の「平和」
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ロシアから見える世界

 みなさん、こんにちは。米アラスカ州アンカレジでの米ロ首脳会談から、約半月がすぎました。その後、ロシアのプーチン大統領がロシアの立場を詳しく説明する機会が、2回ありました。今回のニュースレターでは、その発言を詳しく見ていきます。

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 プーチン氏の2回の発言の機会とは、9月3日に北京で行った記者会見と、5日にロシア極東ウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムの全体会合での発言です。

 プーチン氏の今回の中国訪問の主な目的は、3日に天安門広場周辺で行われた抗日戦争(日中戦争)勝利80年を記念する軍事パレードへの出席でした。北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記、中国の習近平(シーチンピン)国家主席、プーチン氏が並ぶ異例の光景は、大きな注目を集めました。

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2025年9月3日、抗日戦争(日中戦争)勝利80年を記念する軍事パレードが開かれた北京で並んで歩くロシアのプーチン大統領(左)、中国の習近平国家主席(中央)、北朝鮮の金正恩総書記=ロシア大統領府の公式ページから
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 軍事パレードへの出席と金氏との会談を終えたプーチン氏は、ロシアメディアとの記者会見に応じました。プーチン氏はここで、トランプ米大統領がアンカレジ会談の前に繰り返していた「領土の交換(Land swapping)」で停戦を実現させるという考えを、きっぱりと否定しました。

 「私たちは領土と安全保障を結びつけてはいない。もちろん関連性のあるテーマだと言えるが、直接は結びつけていない。アンカレジの(トランプ氏との)会談でも、この問題は取り上げられなかった」

念頭にあるのは「ウクライナ全体」

 さらに重要なのは、プーチン氏の以下の発言です。

 「率直に言って、私たちは領土のために戦っているのではない。人権のため、つまり、そこに住む人々が自らの言葉で話し、自らの文化と父祖伝来の伝統の中で生きる権利のために戦っているのだ。それが何よりも大事だ」

 ここでプーチン氏が念頭に置…

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