長時間労働の日本 女性活躍「みんなつらい」 子育て支える働き方

ワーク・ライフバランス社長の小室淑恵さん=同社提供  長時間労働社会のままの女性活躍なんて地獄でしかない――。多くの企業の働き方改革を支援してきたワーク・ライフバランス社長の小室淑恵さんはこう言います。どうすれば働きなが [...] The post 長時間労働の日本 女性活躍「みんなつらい」 子育て支える働き方 appeared first on Japan Today.

長時間労働の日本 女性活躍「みんなつらい」 子育て支える働き方
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ワーク・ライフバランス社長の小室淑恵さん=同社提供

 長時間労働社会のままの女性活躍なんて地獄でしかない――。多くの企業の働き方改革を支援してきたワーク・ライフバランス社長の小室淑恵さんはこう言います。どうすれば働きながら子どもを育てやすい社会を実現できるのか。日本の少子化は働き方の問題と密接につながっていると指摘する小室さんに詳しく話を聞きました。

共働きで子育て 男性も「心身ともに限界」

 ――日本の少子化対策には、「働き方」の視点が足りないと指摘されています。

 少子化対策のモデルとされる国は、子育て支援と働き方改革をセットで進めてきました。フランスは2000年にオブリ法第2法が施行され、国家全体を週35時間(もしくは年間1600時間)労働に定めました。

 しかし、日本政府は他国の政策を参考にする際、働き方には目を向けてきませんでした。「働き方を変えると経済がシュリンク(縮小)する」という思い込みが日本の経済界には強く、夜間の延長保育を利用可能にして男性と同じ働き方ができる女性に労働参画してもらおうとしました。しかし、大きな費用をかけて子育て支援策に取り組んでも、働き方を見直さなければ効果は乏しいと思います。

 ――日本社会は男性の長時間労働により、家事・育児の負担が女性に偏っています。共働きの我が家も、家庭と仕事の両立をめぐって悩みは尽きません。

 長時間労働社会のまま女性活躍を進めてきたことで、女性だけではなく、男性も含めてみんなつらい社会になったと感じます。夫婦の関係は対等だと思っていたのに女性は子どもを産んだ瞬間から現実はそうではないと気づき、ワンオペ育児の中で夫への不信感や嫌悪感を募らせていく。

 一方、男性も長時間労働や職場でのプレッシャーは強いままにもかかわらず、働く妻から家事・育児への参画を求められ心身ともに限界がきています。国立成育医療研究センターの竹原健二氏の研究データからは、日本の男性は決して育児参画への意思が低いわけではなく、そもそも労働時間が長いことで自由時間が少ないということが見て取れます。

 働き方のスタンダードを変えなかったがために、子育て中の方がかなりの時間を使って意欲をもって仕事をしていても、残業ができないという理由だけで見劣りする人材として評価を下げられてしまう問題も起きています。

 ――なぜ日本は働き方を変えるための取り組みが遅れたのでしょうか。

 第2次安倍内閣の時、官邸で産業競争力会議の民間議員として「少子化対策と長時間労働の是正はつながっている」と発言した際、政治家や官僚からは「エビデンスはあるのか」と問われました。

 子育てをしている多くの方に…

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