ルーツは奈良時代に?「品川ナンバー」の離島に残るいにしえの言葉

島内には港区や中央区などと同じ「品川ナンバー」の車が走っている=東京都八丈町  各地の方言が衰退の危機にあるなか、地元の教育委員会を先頭に、方言の保存・継承に動く町がある。東京から太平洋を南へ約290キロ。品川ナンバーの [...] The post ルーツは奈良時代に?「品川ナンバー」の離島に残るいにしえの言葉 appeared first on Japan Today.

ルーツは奈良時代に?「品川ナンバー」の離島に残るいにしえの言葉
写真・図版
島内には港区や中央区などと同じ「品川ナンバー」の車が走っている=東京都八丈町

 各地の方言が衰退の危機にあるなか、地元の教育委員会を先頭に、方言の保存・継承に動く町がある。東京から太平洋を南へ約290キロ。品川ナンバーの車が行き交う八丈島、東京都八丈町だ。「おじゃりやれ(いらっしゃいませ)」など独特な言葉が残るが、2009年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の消滅危機言語に認定。それを機に試行錯誤を続けている。

地区ごとに違う島言葉 「方言かるた」2度改訂

 「何とか残す手立てはないのか」。レッドリスト入り直後の八丈町議会定例会。突然の消滅危機宣告に、町議が質問した。そこで町の教育委員会が「体系的に伝えられるのは学校の教育現場だろう」と考え、動き始めた。

 「総合的な学習の時間」を活用し、島言葉に触れる機会を設け、芝居なども企画した。統一した内容に取り組めるよう、17年度には小中学校向けカリキュラムも作った。今では自主的に方言で校内放送をする学校も。だが苦労もあった。

 「これはだめだ。5地区の言葉は違う」。12年2月、町議会総務文教委員会が町教委の担当者を呼び、怒りをあらわにしたという。理由は前年に町教委が作った「方言かるた」。島言葉を伝えようと企画し、全小中学生に配ったものだが、この「読み札」に使ったのが最も人口が多い三根(みつね)地区の言葉だった。

 八丈町は三根・樫立・末吉・大賀郷(おおかごう)・中之郷の本島5カ村などが1950年代に合併してできた町だ。今もその5地区には独自の方言が残る。例えば島特産のアシタバは、三根では「ええたば」。そこで「え」の札は「ええたばは からだに よかっていや」とした。すると他の地区から声があがった。「うちは『やたば』だ」

 ある自営業女性(74)は「地区同士の仲は良くなかった。昔は隣村と田畑に引く水を巡って争っていたと聞いている。私も中学時代まで隣村に向かって石を投げてたから」と話す。

 共通する言葉も多い一方で、各地区のこだわりが思わぬかたちで表出し、かるたを改訂することに。読み札の冒頭、意味が共通するものを探し、7枚を変更。絵札も描き直し、5地区の読み方を併記させた。町教委の茂手木清さん(76)は「やはり言葉の多様性があるからなんですよ。これを理解すべきだと思った」。

 「改訂版」は半年後に完成。5地区の読み方はCDにも収録して配った。「もうこれで大丈夫」。ところがそれもつかの間、今度はこう言われた。「CDの言葉と札の文字が違う」

 同じく町教委の林薫さん(7…

The post ルーツは奈良時代に?「品川ナンバー」の離島に残るいにしえの言葉 appeared first on Japan Today.