あきたこまち改良し「ズッパーサン」秋田の米作農家が新開発
あきたこまちの変異株から開発した「ズッパーサン」の稲穂を持つ畠山和夫さん=2025年1月15日、大館市、滝沢隆史撮影 秋田県大館市の農産物直売所の米売り場に1月、見慣れない名前の米が並んだ。「ズッパーサン」。江戸時代か [...] The post あきたこまち改良し「ズッパーサン」秋田の米作農家が新開発 appeared first on Japan Today.
秋田県大館市の農産物直売所の米売り場に1月、見慣れない名前の米が並んだ。「ズッパーサン」。江戸時代から続く地元の米作農家の9代目が、あきたこまちの変異株から長年交配を繰り返して開発した新品種だ。
15ヘクタールの田んぼで米を育てる畠山和夫さん(76)。20歳でスイスに渡り、1年半農業を勉強し、帰国してからほどなくして家業を継いだ。主に「あきたこまち」を生産している。
転機は50歳のころ。各地でブランド米競争が過熱し、畠山さんも「あきたこまちを上回る、大館産のブランド米を手掛けてみたい」との思いを抱いた。
自ら育てるあきたこまちの田んぼで、成長が早い大きな穂を選抜し、交配して育苗を試みたが、最初の10年ほどはまったく成果が出なかった。
2011年8月5日。いつものように田んぼに目を凝らしていると、いままでにないくらい成長が早く、ひときわ大きな稲穂を見つけた。当時、「震えるぐらい、成功する予感がした」。
それから、交配を繰り返すこと7年。一株の特異なあきたこまちから、粒の大きさと食味の良さが自慢の派生品種が誕生した。
「たくさん」という意味の秋田弁「ずっぱり」と、地元で貧しい人たちを救ったと伝わる医者の「三哲」から「さん」を掛け合わせ、「ズッパーサン」と命名。「たくさん収穫でき、地元のヒーローにあやかって人気が出るように」との思いを込めた。
畠山さんによると、ズッパーサンの玄米の粒は平均6.5ミリメートルで、あきたこまち(同5.5ミリメートル)よりも長い。米の千粒重も、あきたこまちより9グラムほど重かった。県種苗交換会で食味値を民間3社の計器で測定したところ、いずれもあきたこまちを上回る数値が出たという。
今年の新米からズッパーサンを関東で扱う予定の米卸会社ミツハシ(横浜市)の担当者は「大粒で食べ応えがあり、食味もあきたこまちに劣らない。個性的な銘柄の名前が消費者に受け入れられれば、とても可能性を感じる」と話す。昨年、横浜市内で直営するレストランで1カ月ほど提供したところ、食べた9割の客がアンケートで「おいしい」と答えたという。
畠山さんは21年にズッパーサンの特許を取得。昨年9月には、韓国、米国に続き、農水省の品種登録を果たした。県農業試験場によると、米の品種登録は育成した自治体などが登録するのが一般的で、個人による登録は珍しいという。
これまで、あきたこまちが主力だった畠山さんは今年、15ヘクタールの田んぼすべてをズッパーサンの生産に変える計画だ。収量は昨年の20トンから約100トンに増える。
「あきたこまちを超える100点満点の米ができた。倒伏に強く、寒さや暑さへの耐性もあり、栽培に興味を持ってくれている農家もいる。いずれは海外への輸出もめざしたい」
ズッパーサンは県内では、大館市の農産物直売所「陽気な母さんの店」で買える。5キログラム3880円(税込み)。
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