通底する非戦の思い、戦争映画40本特集上映 大阪のシネ・ヌーヴォ

戦争映画の特集上映を組んだ山崎紀子さんと景山理さん=2025年7月11日、大阪市西区九条のシネ・ヌーヴォ、中野晃撮影  戦後80年を迎える今夏、大阪の独立系シアター「シネ・ヌーヴォ」(大阪市西区九条)が、戦争を題材にした [...] The post 通底する非戦の思い、戦争映画40本特集上映 大阪のシネ・ヌーヴォ appeared first on Japan Today.

通底する非戦の思い、戦争映画40本特集上映 大阪のシネ・ヌーヴォ
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戦争映画の特集上映を組んだ山崎紀子さんと景山理さん=2025年7月11日、大阪市西区九条のシネ・ヌーヴォ、中野晃撮影
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 戦後80年を迎える今夏、大阪の独立系シアター「シネ・ヌーヴォ」(大阪市西区九条)が、戦争を題材にした映画40本を特集上映する。原爆が投下された広島、長崎や沖縄の地上戦の惨状を伝える作品から、旧日本軍の戦闘を描いたものまで多彩な作品をそろえた。戦争犠牲者への追悼や、非戦への願いがこめられているという。

 7月26日から「戦後八十年記念 決定版!日本の戦争映画史」と題して上映する。

 支配人の山崎紀子さん(48)は「10年後は『戦後90年』と言えるのだろうかという不安があります。平和を引き継ぐためにも、戦後80年の今が日本が戦争に向かっていないかを考える大事な時だと思い、そのきっかけにと作品を選びました」と話す。

 上映作品の多くは昭和時代に、戦争を体験した映画人が作ったものだ。

 山崎さんのおすすめは、黒木和雄監督の「父と暮せば」(2004年)で、広島原爆を題材にした井上ひさし氏の戯曲を映画化した作品だ。

 「原爆で生き残った人が罪悪感に苦しむ姿が描かれています。戦後も心身の苦しみを受け続けたということが戦争の悲劇だと思います」

 代表の景山理(さとし)さん(70)は、特攻隊員として終戦を迎えた須崎勝彌氏が、仲間を失った自身の体験を交えて脚本を書いた「あゝ零戦」(1965年)などを挙げた。

 戦後の映画界には自ら戦場を体験した人が少なくなく、出演者のしぐさも実体験が下地となり現実感に富んでいた。「戦場を肌身で知る人たちが演じ、制作していた。エキストラの出演者たちもすぐにゲートル(脚半)を巻くことができた」

 特集では戦時中に制作、上映された「戦意昂揚(こうよう)映画」6本も紹介する。鬼畜米英を桃太郎隊長が指揮する犬、猿、キジらの落下傘部隊がやっつける「桃太郎 海の神兵」(45年)は、技術向上につながった点で「日本アニメの原点」とも呼ばれる作品だ。

 一方、木下恵介監督による「陸軍」(44年)は、田中絹代演じる母が出征する息子を延々と追いかける最後の場面に、検閲下という限られた条件の中で作品に込めた制作者の思いがにじみ出ているという。山崎さんは「大切に育てた子どもをなぜ戦地に送り出さなければならないのか。そんな隠されたメッセージが感じられます」と解説する。

 特集上映は9月12日まで。景山さんは「今こそ『戦争はやってはいけない』という映画の先人たちの思いを、映画を通して引き継ぎたい」と語る。上映作品やスケジュールの問い合わせは、シネ・ヌーヴォ(06・6582・1416、http://cinenouveau.com/別ウインドウで開きます)。

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