第3回社長より報酬多い相談役　ライブドア騒動教訓、「官製」の買収防衛策

連載・日枝王国の崩壊③黄金の日々

　フジテレビ会長の日枝久はカメラに向かって満面の笑みを浮かべた。2005年4月18日、フジとニッポン放送、ライブドアの資本・業務提携の記者会見の席上のことである。日枝は「放送と通信が融合する時代を見据えて」と切り出し、つい先日まで敵対していたライブドアの第三者割当増資を引き受け、440億円を投じることを明らかにした。

　あわせて、この日までライブドアが取得したニッポン放送株50%を1千億円で買い取ることも発表した。ライブドアは、しめて1440億円を得ることになった。

　約2カ月間のバトルに終止符を打つ和解の会見だったが、濃紺のダブルのスーツを着た日枝は、しばしば硬い表情を見せた。それに対し、白いカジュアルなジャケット姿のライブドア社長堀江貴文は終始にこやかだった。「フジテレビさんと新しいビジネスモデルをこれから作っていける。非常にワクワクしています」。明るく語った。

　ところが両者の業務提携は進まなかった。フジはライブドアからニッポン放送株を巻き上げると、「もう用はない」という態度だった。

　会見の翌月、ライブドアのグループ企業の元社長宅マンションに、フジ社会部記者が「ライブドアのあら探しをしているんです」と訪れた。しばらくして「ライブドアの件で聞きたいことがある」と、東京地検特捜部の検事から電話で出頭を要請された。元社長は、フジの記者から「あなたのことを検察に教えた」と打ち明けられた。

　以来、元社長の事情聴取が終…