陰謀論はなぜ海を越えたのか　「反日勢力の戦い」共感する日本人

　韓国の尹錫悦（ユンソンニョル）前大統領が出した非常戒厳をきっかけに、日本語で発信する韓国人ユーチューバーたちが、尹氏を擁護するデモは「反日勢力との戦い」だと主張して支持する動画を配信したところ、相次いで日本人が共感を示した。外国勢力の介入などの陰謀論を含むこうした韓国発の動画には、日本人による外国人排斥のコメントも集まる。なぜ陰謀論は海を越えて広がったのか。

　「1千万人がこのデモに集まりました」

　「尹大統領が（弾劾（だんがい））裁判に負けた場合、韓国完全に崩壊します。自由民主主義が崩れ、中国や北朝鮮のような国になり、今のように日本と韓国が仲良く交流できなくなります」

　尹大統領（当時）を支持するデモの現場で、韓国人ユーチューバーの男性が自撮りをしながら、日本語で興奮気味に解説する。「今、国民1千万人が『反日派』と戦う理由」と題し今年3月に投稿されたこの動画は、160万回超再生された。

　昨年12月に尹氏が非常戒厳を出したのを境に、日本語で韓国文化のコンテンツを発信していた複数の韓国人ユーチューバーが突然、政治的発信を始めた。共通するのは、尹氏擁護のデモを「反日勢力との戦い」だと位置づけて支持する主張を繰り返すことだ。だが、実際には非常戒厳以降、公表された警察の集計で、尹氏擁護のデモに1千万人が参加したという事実はない。

　韓国の憲法裁判所は尹氏の出…