第10回かすむ米兵21人の死、不満はガソリン高騰へ 「戦争しない」はずが

トランプ米大統領は2024年の再選時、「私は戦争を始めない」と公言した。だが、一転してイラン攻撃を始め、終結の見通しが立たない。ガソリンなどの物価高を招き、11月3日の中間選挙への影響が指摘される。ただ、戦争の犠牲については、活発な議論が行われているとは言えない。戦没米兵の遺族は「目を向けて」と訴える。
米南部ジョージア州コロンバスの国立歩兵博物館では9月12日、イラン攻撃の遺族を招いた式典があった。トランプ政権が2月28日にイスラエルとともに始めたイランとの戦闘では、米兵計21人が死亡。同館の記念碑に、アフガニスタンやイラクでの「対テロ戦争」の犠牲者に続けて名前が刻まれた。
「愛していると言って励ましたかったけれど、電話もできなかった」
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攻撃開始の翌3月1日に、米軍が駐留するサウジアラビアの空軍基地でイランの攻撃を受けて負傷し、1週間後に死亡した南部ケンタッキー州のベンジャミン・ペニングトンさん(当時26)の母キャリーさん(60)は目に涙を浮かべながら語った。
運動や登山が好きで、友達が多い息子だった。ミサイル防衛を担う部隊に所属し、中東に向かう直前の週末の短い電話が最後の会話になった。
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キャリーさんは「背負ったものが重たくなるように、悲しみはどんどん強くなっている」。イラン攻撃には「様々な思いがめぐってくる」と打ち明けつつ、「本当は洗いざらい話したいが、自分でもよくわからない」と語った。
父にあこがれパイロットに

3月12日にイラク西部で起きた空中給油機KC135の墜落事故で死亡した西部ワシントン州のアリアナ・サビノさん(当時31)は、旅客機パイロットの父にあこがれて空軍のパイロットとなった。両親は「米国民が戦争や平和を議論する際には、自ら任務に就く人々に目が向けられ続けることを願う」との思いを吐露した。

「戦争しない」言ったはずが
トランプ氏は、米兵7千人以上が死亡した「対テロ戦争」を念頭に米軍の長期介入を批判し、「ばかげた戦争にあなたの子どもを送り、死なせることはしない」と公約して再選した。
だが、イラン攻撃に踏み切り、長期化したことで、トランプ氏の政治運動「MAGA(米国を再び偉大に)」を熱心に支持してきた人々の一部離反を招いたとされる。

米調査機関ピュー・リサーチ・センターが10月8日に公表した世論調査によると、イラン攻撃への「支持」は33%にとどまる一方、「不支持」は65%だった。ただ、新アメリカ安全保障センター(CNAS)のキャサリン・クズミンスキ研究担当副所長は、不満の多くは「戦争の結果生じたガソリンや食料品の価格高騰が主要因だろう」と話す。
ホルムズ海峡が不安定化し、ガソリン価格は攻撃前の最大約1・5倍に高騰した。国内の物価高の陰で、米兵の犠牲はかすんでいる。国際法違反の疑いが濃いイラン攻撃の正当性を問う議論も低調なのが実情だ。
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兵士は苦しみ続ける
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