2部制での試合開催、高校野球の地方大会でも 試行錯誤を重ねて準備
2部制が導入され、昼間に観客の姿がなくなった昨夏の阪神甲子園球場=林敏行撮影 高校野球の地方大会で、暑さのピークを避けて午前と夕方に試合を行う2部制を採り入れる動きが広がり始めた。まもなく開幕する大会に向け、教諭や運営 [...] The post 2部制での試合開催、高校野球の地方大会でも 試行錯誤を重ねて準備 appeared first on Japan Today.

高校野球の地方大会で、暑さのピークを避けて午前と夕方に試合を行う2部制を採り入れる動きが広がり始めた。まもなく開幕する大会に向け、教諭や運営スタッフの増員や観客の入れ替えなど課題もあるが、各地の高校野球連盟は試行錯誤を重ねながら準備を進めている。
- 熱中症対策に「手のひら冷却」効果的 体重の2%脱水は警戒ライン
今夏の地方大会で全国に先駆けて2部制を導入するのは、三重と富山の両大会だ。三重大会では第1試合は午前9時、第2試合は午後3時半開始を予定。富山大会では第1試合を午前9時、第2試合を午後3時に始める。
地方大会では2018年の京都大会準々決勝で第2試合後に休憩を挟み、第3試合以降を午後4時から始めた例があるが、大会を通じての2部制の導入は全国初となる。
三重大会では、昨年11月に今夏からの2部制導入を発表。県高野連はメールなどで各校の部長や監督に説明を続けてきた。
昨夏は第1試合が午前8時45分、第2試合は午前11時15分から始めていた。当初は「今まで通りではできないのか」といった疑問の声もあったという。県高野連は「第2試合が暑さのピークにかかるのを避けたい」「今夏は2部制を導入しなくても、来夏以降も必ず問題になる」と説明。今年3月の監督会では、異論が出なかったという。
2部制導入のきっかけになったのは23年8月。県教育委員会は県立学校長に「活動場所のWBGT(暑さ指数)が31度以上の場合、運動は中止するように」と通知した。部活動の各大会への参加については「大会主催者の指示に従う」となっており、主催者は対策を求められていた。
県高野連などは暑さ対策を話し合い、24年から開会式を室内ドームで行うなどの対策を開始。今夏は2部制導入を決めた。
2部制にすると教諭ら運営スタッフも朝夕で交代するため人員も2倍近く必要となり、1球場あたり25人ほどになる。それでも、県高野連の栗谷佳宏・理事長は「トライして改善すべき点があれば不断に見直す」と決意は固い。
富山でも昨年の大会でも一部の球場で試したが、今回は会場が増えたことで全日程で1球場2試合となり、完全な2部制を採用できることになった。
2部制の導入は今月6日の県高野連会長、理事長、監督部会の代表者らが集まる会議で決まった。当初は「午前8時か午前9時半に1試合目を始め、続けて試合を行う」「2試合目の開始を午後2時にする」などの案があった。
しかし、議論の中で「午前8時にすると、電車やバスで通う選手が学校の集合時間に間に合わない」「続けての試合だと、これまでと同じ」「午後2時開始は、試合前のランニングやシートノックを一番、暑い時にやらなければならない」などの意見が出た。
最終的には「午前9時、午後3時スタート」でまとまったという。ゲーム間隔が3時間程度空くため、2試合を観戦する場合でも、観客には一度、スタンドから出てもらう予定だ。
高橋英司・理事長は「監督のみなさんも理解してくれた。運営スタッフが球場にいる時間が長くなるが、選手の健康を第一に考えた結果だ」と話した。
全国選手権大会では昨年、大会第1~3日の試合数を1日3試合として2部制を初めて実施した。
今年8月5日に開幕する第107回大会は、開会式を午後4時に始める。開会式を夕方に行うのは大会史上初めてだ。
開幕日は1試合(午後5時30分開始)のみ行い、さらに1日4試合日でも2部制を導入する。1回戦17試合と2回戦2試合の計19試合が2部制で行われることになる。
試合開始を早める動きも
2部制という形式はとらなくても、工夫して暑さを避けたり、連戦を避けて体調回復に努めたりして選手を守ろうとする動きは、各地で広がっている。
山形、宮城、東・西東京、神奈川、石川などの大会では今年から、試合開始を午前8時半~9時に前倒しする予定だ。
愛知大会では今夏から5回戦以降、第1試合が午後2時、第2試合が午後4時半開始とする「サマータイム制」を導入。気温が下がっていく時間帯に試合をするのが狙いだ。
岐阜や鹿児島の両大会などでは1日3試合を実施する球場はなくし、全ての日程で1日最大2試合にした。大阪、兵庫の両大会では大会の中盤以降は中1日の休みを挟み、連戦を避ける。
開会式と競技開始を分ける大会も目立っている。今年は奈良と愛媛の両大会で新たに採り入れるなど、14大会で実施される予定だ。
福岡大会では開会式の後に試合を行うが、昨年から開会式の参加を希望制にし、1校ずつの入場行進を取りやめた。
五回終了後に涼しい部屋に入るなどして休息する「クーリングタイム」や、給水タイムは全国各地で一般的になった。細かい氷の粒子と液体が混ざったシャーベット状の飲料「アイススラリー」を選手に配ったり、ベンチ裏に冷風機などを置いたりする大会も目立つ。
選手だけでなく、応援団や観客向けの対策を講じる大会もある。
和歌山大会では応援席にミストシャワーをまき、広島大会ではほぼすべての球場の応援席にミスト扇風機を配備する。鳥取大会では応援団席にテントを持ち込むことを認める。理学療法士はスタンドも見回り、体調不良者にも気を配る予定だ。
宮城大会では、学校単位の応援は事前に応援する生徒数や責任者の連絡先などをまとめた応援実施計画書を県高野連に提出することを要請。加えて、県高野連は学校側にバス1台を救護車として球場脇に配置することも求める。
The post 2部制での試合開催、高校野球の地方大会でも 試行錯誤を重ねて準備 appeared first on Japan Today.