経費削減の矛先がドラムに向かった プロがそれでもこだわる「生音」
ライブでドラムソロを披露するKazamiさん。観客の盛り上がりがピークになった=2025年3月16日午後7時11分、東京都渋谷区、中野浩至撮影 東京・渋谷のライブハウス。あいさつ代わりの短いドラムソロが会場を揺らす。バ [...] The post 経費削減の矛先がドラムに向かった プロがそれでもこだわる「生音」 appeared first on Japan Today.

東京・渋谷のライブハウス。あいさつ代わりの短いドラムソロが会場を揺らす。バスドラム2台を連打して放たれる低音の振動に、200人近くの観客から歓声が上がった。
ビジュアル系ロックバンド「DaizyStripper」のドラマーのKazamiさん。「音楽は、『鼓動』『波動』『共鳴』。生音を浴びたことのない人は損だと思う」と話す。
そのKazamiさんは、CDの収録の際、所属事務所から告げられた言葉が忘れられない。
「電子ドラムか『打ち込み』で収録してくれないか」
「打ち込み」とは、リズムのパターンを作って鳴らす機械のリズムマシンを指す。作曲も手がけるKazamiさんにとって、自分の曲でドラムを「たたけない」ことは受け入れられなかった。「絶対に嫌だ」とあらがったが、結局、折れた。マシンではないが、音を電子的に再現する「電子ドラム」で何曲かを録音した。
電子ドラムは「ずーっと同じ色の団地が続くイメージ」
「ドライブ中に窓から景色を見ても、ずーっと同じ色の団地が続いているようなイメージ」。Kazamiさんは電子ドラムの音色をそう表す。実際のドラムの音を精巧に再現しているが、機械加工されていて画一的。実際にドラムをたたいた「生音」のような息づかいは感じられない、という。
電子ドラムでとった音源は今も、ほとんど聴かない。ただ、事務所が当時置かれていた立場は理解している。「生のドラムで収録するより、電子ドラムを買ったほうが安いですもんね」
サブスクの台頭、CDが半減
バンドは2007年にデビューした。発売したシングルやアルバムはインディーズランキングで上位に入った。だが5~6年経ったころから、CDの売れ行きに陰りが出始める。
定額制(サブスクリプション)音楽配信サービスの台頭だった。日本レコード協会によると、CDは00年に約3億8千万枚が生産されたのをピークに減少傾向が続き、13年にはほぼ半減した。
事務所からの「通告」はこのころだった。
記事の後半では、ドラムを演奏するKazamiさんの動画を紹介しています。
「ドラマーがいても録音はリズムマシン」
再生回数に応じて収入が得ら…
The post 経費削減の矛先がドラムに向かった プロがそれでもこだわる「生音」 appeared first on Japan Today.