第1回劇作家・野田秀樹がいま語るコロナ禍 文化は「共同体の礎」なんだ

■変容と回帰 コロナ禍と文化  新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が初めて出されてから、今年で5年。未曽有のパンデミックで、表現やその伝達のうつわは変化を迫られ、自明と思われていた価値観や慣習が問い直された。文化芸術の [...] The post 第1回劇作家・野田秀樹がいま語るコロナ禍 文化は「共同体の礎」なんだ appeared first on Japan Today.

第1回劇作家・野田秀樹がいま語るコロナ禍 文化は「共同体の礎」なんだ

■変容と回帰 コロナ禍と文化

 新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が初めて出されてから、今年で5年。未曽有のパンデミックで、表現やその伝達のうつわは変化を迫られ、自明と思われていた価値観や慣習が問い直された。文化芸術の姿は、パンデミックを経てどう変わったのか。国内外で活躍する劇作家・演出家の野田秀樹さんのインタビューを皮切りに、連載形式で考えます。

写真・図版
劇作家・演出家の野田秀樹さん=2025年8月6日、東京都中央区、友永翔大撮影

 ――2020年2月26日、当時の安倍晋三首相がイベントなどの主催者への自粛要請を打ち出しました。「演劇界の2・26事件」と呼ばれるほど、関係者にとっては衝撃だったそうですね。

 演劇人たちがどういう仕組みで食べているのか。それを知らない人たちが考えた要請だと思いました。

 僕たちは、公演期間中に集中して稼ぐ、いわゆる季節労働者です。だから公演期間に劇場をしばらく閉鎖しろと言われたら、食べていけない。休止中でも職員に給料が出る施設とは違うんです。補償もなしに、簡単に「劇場を閉鎖しろ」なんておかしいという思いがありました。

 4日後には、自分の舞台制作会社のHPで「公演中止で本当に良いのか」というタイトルの意見書を出して、感染対策をして観客の理解を得る前提で、予定された公演は実施されるべきだと書きました。

 ――5月には、苦境に立った演劇関係者が連帯し「緊急事態舞台芸術ネットワーク」を立ち上げました。

 演劇界では「補償がなければ…

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