内田真礼×松岡美里 映画キミプリで届ける、推しとファンの相互作用

「映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ! キミに届けるキラッキライブ!」が12日に公開されます。
映画の舞台は、海に囲まれた不思議の島「アイアイ島」。キュアアイドルに変身する少女、咲良うたたちは〝宇宙一〟のアイドルイベント「スーパーミラクルアイドルフェスティバル」に出演するはずが、急に過去へと飛ばされてしまいます。
うたを演じる松岡美里さんと、アイアイ島に住む謎の少女テラを演じる内田真礼(まあや)さんの声優ふたりに、スクリーンを越えて届けたい思いを聞きました。
連載「プリキュアキャストに聞く」
朝日新聞では月に1度、「プリキュア」シリーズのキャストインタビューを配信しています。「キミとアイドルプリキュア♪」の声優が語る「キミとキラッキランラン」が連載中です
アイドル嫌い、理由はあって無い
――物語の鍵を握る存在として、内田さん演じる「アイドル嫌い」の少女テラが登場しますね。
内田 まず「なんでアイドルが嫌いなんだろう?」と思い、スタッフさんに聞いてみると、色々なことを明かしていただきました。その上で私は「テラの『嫌い』には理由があるが、それはあって無いようなものだ」と思うようにしました。
なぜなのかは分からないけれど、嫌い。そんなモヤモヤした感情はありますよね。一つの言葉で納得したり、片付けたりできない。そんな折り合いのつかない気持ちに、テラは初めてぶつかっている。
だから、うたたちが仲良くしてくれるのに、どうしたらいいか分からない。なのでせりふとしては「嫌い」と強い言葉が出てしまう子ですけど、そこに強い意味を持たせないようにしていました。
ツンデレだとしたら、「デレ」も割と出ている子で(笑)。うたちゃんたちが困っていたら「やれやれ」と言いながら何でも助けてくれる、とても面倒見がいい子でもあります。
松岡 最初にテラちゃんが「アイドル嫌い」と知ったときのうたちゃんの反応は、「ええ~~??」でした。表情を見ても「新しい発見」と言いますか、「そういう考え方もあるんだ」という驚きのほうが大きかったのだと思います。
テラちゃんと話していると、言葉の中に優しさを感じて。そこにテラちゃんの本質を感じたときに、「この子もきっと好きになってくれる」と直感的に思いました。うたちゃんの中にも「きっとテラちゃんもキラッキランランになってくれる」という自信がわいたのではないかなと思っています。
まつみって呼ばれてるの?
――内田さんは、「ひろがるスカイ!プリキュア」(2023~24年放送)で、プリキュアと対立するカイゼリン・アンダーグの少女期を演じて以来のプリキュアシリーズ出演ですね。
内田 「ひろプリ」と「キミプリ」ではまた雰囲気が違うんですね。カイゼリンは「敵」側にいて、彼女自身が背負うものもあって、つらい場面が多かったですし。収録自体も「ひろプリ」のときはコロナ禍の影響で、全員で収録できませんでした。
今回の収録で、「ひろプリ」のキャストたちにも会えました。ですが、やっぱりほぼ「初めまして」のような感覚で、遠くからドキドキと見つめていましたね。
初めてプリキュアチームの皆さんとそろって収録ができて、なんて幸せなのだろうと思いました。プリキュアの「陽の力」をすごく感じられて、するするとその魅力にひかれていった感覚がありました。
松岡 収録では、私の方が緊張していたかもしれません(笑)。真礼さんは所属事務所の先輩で、お会いしたことはありましたが、作品でこうしてマイクの前で一緒にお芝居をするのはほぼ初めて。私のほうがほぐしていただいたような。
内田 まずは「名前をなんと呼ぶか」から始めましたね。マネジャーから「まつみ」と呼ばれていることをキャッチしまして、ファーストセッションで伝えました。
松岡 「まつみって呼ばれてるの?」と最初に言ってくださって、すぐに私も「そうなんですー!」と言えて。空気がほぐれてうれしかったです。
収録でも、真礼さんがテラちゃんとして、うたちゃんに心から語りかけてくれて。うたちゃんとして、きちんと返せたらと思いながらアフレコしていました。
内田 感じていましたよ。うたちゃんの全力で寄り添うコミュニケーションは、ストレートにパンチを食らうような感覚で、これは受け取りがいがあると。「元気」という一言で片付けられないパワーがあり、貝のように閉じたテラの心をこじ開けてくるうたちゃんに、芝居で返していくのがとても楽しくて。一緒に収録できて本当によかったと思います。
伝え合う「大好き」、バチバチと
――物語を理解するキーワードは、「推し」と「時間」だとか。アイドルというと一瞬の輝きのようなイメージもありますが、永遠のアイドルとして時を越えて語り継がれる人もいますね。
松岡 推していた気持ちを覚えている限りは、それはもう一生存在しているのだと思います。昔好きだったけれど、今はもうなくなってしまったものであっても、私が覚えている限り、それは本当にあったし、今もあり続けている。この映画を通じて、好きでいる一瞬一瞬を大切にしたいと、より強く思いました。
内田 私は収録を経て、「推しは偉大」だと思いました。導かれるようにして、前に進むことができることもあるのかも。「推し」という存在ができたら何でも頑張れてしまうのかも、と思うようになりました。誰かが誰かを思う気持ちがすごく尊く描かれています。
――おふたりは「推される」側の心も分かるのでは。
松岡 ファンの皆さんとの「お話し会」があると、「このイベントのために仕事これだけ頑張りました」「この日のために頑張って生きてきました」と言ってくださる方もいて。「そんなにも力になれているんだ」と実感します。誰かの力になることは、うれしいんだな、幸せなんだなと思います。
そういう心は、キラキラしているんです。そのキラキラをいただくときが、「私が頑張ろう」と思える瞬間ですね。
内田 私は音楽活動をしていて「永遠なんかありえない」という曲がありまして、最後に「みんな大好き!」という歌詞があるのですが、ライブでやるとみなさんが「まあや大好き!」と叫んでくださるんです。
松岡 大好きを伝え合っているんですね。
内田 もう戦いのようにバチバチと(笑)。そのパワーが本当にすごくて、全力の「大好き」を浴びると、細胞から回復するような気がします。やっぱり人から大好きと言われたり、熱い思いをもらったりすると、それだけで頑張れる気がしてくる。
推す人と推される人というのは一方通行ではなくて、相互に作用する関係なのだと思います。お互いがいるからこそ成り立っていて、思いが通じているから、幸せな関係性が築けているのかなと思います。
キミの「好き」にまっすぐに
――相互作用というと、子どもたちの応援がスクリーンを越えてプリキュアに力を届ける場面が、プリキュア映画恒例の見せ場でもありますね。
松岡 劇場に来てくれた子どもたちが「頑張れ!」と言ってくれる姿を想像しながら、収録に臨みました。ここでたくさんの「キミ」たちからのエールがあるからこそ、プリキュアたちは立ち上がって大きな相手に立ち向かうことができる。そんな「キラッキランラン」を受け取ることのできる場面だと思い、その光景が現実になることにワクワクした気持ちでいました。
内田 それに、劇中に登場する子どもたちも、思いを代弁してくれるんですね。「もっとたくさんプリキュアがいればいいのに」というせりふがあり、その思いがプリキュアに届く場面があります。収録のとき、声は出せなくても脳内で盛り上がっていました。誰しもが、燃える瞬間になると思います。
松岡 とにかく楽しんでほしいです。「自分もアイアイ島に行って、宇宙一の『スーパーミラクルアイドルフェスティバル』に参加して、一緒にアイドルを見て応援した」と感じて、映画館をライブ会場だと思えるぐらい、夢中になってもらえたらいいですね。
内田 全力で楽しんでほしいのが一番ですね。声を出してプリキュアを応援して、大好きなプリキュアのグッズをつけてくるもよし、歌ってみるもよし。気持ちを解放して「好き」にまっすぐに、映画館に来てくれたらうれしいです。
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