アジア系はなぜ差別に声を上げ始めたのか フランスの見えない少数派

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アジア系はなぜ差別に声を上げ始めたのか フランスの見えない少数派

【連載】インビジブル・マイノリティー フランスのリアル 第1回

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インビジブル・マイノリティー フランスのリアル

【連載】インビジブル・マイノリティー フランスのリアル 第1回

 移民の国フランスで、アジア系市民が差別に声を上げ始めています。「インビジブル・マイノリティー」(見えない少数派)と呼ばれてきた人たちはなぜ立ち上がったのか。フランスで見過ごされてきたアジア系差別の問題から、日本にもつながる多様性のあり方について考えます。

 SNSのタイムラインに流れてきた投稿の文面を読み始めて間もなく、憤りと無力感の混ざり合った感情が湧いてきた。

 フランスのどこかの町のスーパーで、アジア系女性を見かけた白人の父親が一緒にいた子どもに「ウイルスだから近寄るな」と注意した様子がつづられていた。

 新型コロナウイルスの感染拡大が始まっていた2020年1月のことだ。パリの中学校教員ジュヒ・ブルガンさん(42)はその投稿を読み終えた後、言葉にして叫ばずにはいられなくなった。「私はウイルスじゃない」

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新型コロナウイルスの感染が拡大していた2020年1月に「私はウイルスじゃない」とSNSの投稿で訴えたジュヒ・ブルガンさん=本人のインスタグラムから

 白い紙にその言葉を書き、顔が半分隠れる高さに掲げてセルフィーを撮った。「アジア系に対する人種差別は何の対処もされていない」。少しでも多くの人に訴えたいと思い、X(旧ツイッター)で自分よりたくさんのフォロワーを持つ知人にメッセージと写真を拡散して欲しいと頼んだ。

  • 【もっと詳しく】存在感薄かったアジア系住民が立ち上がった理由 フランスの学者に聞く

 ただ、不安もこみ上げてきた。ネット上で人種差別的な嫌がらせの標的にされないか。メッセージはフランスメディアで取り上げられるほど反響を呼んだが、実名で訴える勇気がその時はなかった。

 1983年4月、生後10カ月でフランス北部の白人家庭に養子として韓国から引き取られた。養父母がつけてくれた名前は「ジュスティーヌ」。家の中では自分のルーツを意識することなく、マジョリティーである白人のフランス人として育てられた。しかし、学校に通い始めると、自分が他とは違うと分かった。

 「どうして私は白人じゃないのか」。そんな思いを抱えて生きてきたブルガンさん。30歳を迎える頃、それまで遠ざけてきたという韓国に初めて向かいます。どんな心境の変化が起きたのか。記事後半でお伝えします。

 学校にいるアジア系は自分ひ…

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