【社説】国と沖縄、13年ぶりの協議会再開 基地負担軽減の具体策を

この社説のポイント
●沖縄の負担軽減のために30年前に設置された協議会の原点を忘れてはいけない
●政府は辺野古移設への賛否によって、県政への向き合い方を変えてはならない
●知事は県民の立場に立って主張し、具体策な成果につなげられるかが問われる
政府と沖縄県が、米軍基地の負担軽減と沖縄の振興策を話し合う「沖縄政策協議会」が13年ぶりに開かれた。9月の県知事選で自民党が推した古謝玄太氏が当選したことを受けたものだ。対話の再開には意義があるが、県民の期待する具体的な成果につなげなければならない。
協議会は、橋本龍太郎内閣が1996年に設置を決めた。前年に米兵による少女暴行事件があり、基地負担に対する沖縄の憤りが高まっていた。橋本首相は「関係閣僚と沖縄県知事が対等な発言権を持てる場」と位置づけ、基地問題だけでなく、沖縄の将来を政府と県が一体となって考えると述べた。その原点をいま一度、思い起こすべきだ。
前回の開催は2013年末、仲井真弘多(ひろかず)知事の時だった。その後、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する翁長雄志、玉城デニー両知事の時代には開かれず、古謝知事の誕生で早々に復活した。県政が政府の基地政策を支持するかどうかで、沖縄への向き合い方を変えるようなことはあるべきではない。
今回の協議会は約15分。高市早苗首相と全閣僚が出席。古謝氏が来年度予算・税制への要望と、普天間返還の「期日の明確化」、米軍人らによる事件の再発防止、日米地位協定の抜本的見直し、有機フッ素化合物PFOSを含む環境問題の解決などを求めた。

普天間返還は合意から30年たっても実現していない。軟弱地盤の改良を伴う難工事が残っており、今後も政府の計画通りに進む保証はない。このままでは返還期日の確定は望めない。政府にはまず、計画が抱える数々の問題を本当に克服できるのか、具体的に説明する責任がある。
返還合意の原点は、住宅密集地にある普天間の危険性の速やかな除去にあった。古謝氏は辺野古移設に加え、普天間へのオスプレイ配備も容認した。だが、これには地元から反発も出ている。古謝氏を支持した人々も、米軍機の騒音や事故の危険まで受け入れたわけではない。
那覇市のホテルで女性が殺害された事件で、米兵が先月起訴されるなど、米軍基地に由来する事件・事故は後を絶たない。事件を受けて外出が禁止された時間帯に、米兵が酒気帯び運転の疑いで現行犯逮捕されるなど、再発防止策の実効性には疑問が残る。
古謝氏は政府や米側に言うべきことを言えるのか。政府は具体策で応えられるのか。良好な関係のアピールを超えて、県民の立場に立った改善策を積み上げることができるのかが問われる。
- 首相「基地負担軽減、目に見える形で」 13年ぶり沖縄政策協議会
「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。
The post 【社説】国と沖縄、13年ぶりの協議会再開 基地負担軽減の具体策を appeared first on Japan Today.


