服飾ブランド、漫画の広告が最高賞 朝日広告賞・広告主参加部門
2024年度第73回朝日広告賞の受賞作品が決まった。朝日新聞紙面に掲載された広告の中から広告主が応募した「広告主参加」(同162点)では、「新聞広告の部」でファッションブランド「yoshie inaba」の広告が、「デ [...] The post 服飾ブランド、漫画の広告が最高賞 朝日広告賞・広告主参加部門 appeared first on Japan Today.

2024年度第73回朝日広告賞の受賞作品が決まった。朝日新聞紙面に掲載された広告の中から広告主が応募した「広告主参加」(同162点)では、「新聞広告の部」でファッションブランド「yoshie inaba」の広告が、「デジタル連携の部」で漫画「スキップとローファー」の広告が最高賞を受賞した。
【新聞広告の部】
株式会社テーワイプランニングルーム〈yoshie inaba〉
白衣を着てトルソーに向き合う女性。その下には「タイムレスを作り続けて43年」の文字。ファッションブランドの新作の宣伝ではなく、クローズを知らせるものだ。
デザイナーの稲葉賀惠さん(85)が、自らのポートレートを用いた新聞広告を希望した。「長年、私の服を着てくれたお客様に、広く感謝の気持ちを伝えたかった」
アートディレクターの辻直樹さん(46)は、「稲葉さんらしさが伝わる写真がいいと思った」。都心にあるアトリエで、いつも通りの作業風景を撮影した。広告を見て店舗に足を運んだ人もいたといい、辻さんは「幅広い人に届くという、新聞広告ならではの責任を感じた」と話した。
【デジタル連携の部】
講談社〈スキップとローファーと能登〉
奥能登から上京し、東京の進学校に通う主人公・みつみの日常を描く漫画「スキップとローファー」の広告。QRコードから特設サイトにアクセスして1話を読むと、能登半島地震で被害を受けた石川県に100円が寄付される。
取材に書面で回答した講談社の上ケ市亜矢さん(31)によると、富山県出身で、石川県珠洲市にいた祖父母を地震で亡くした作者の高松美咲さんが、前を向くみつみのイラストを描いてきたという。「パラパラと新聞をめくる手が止まるような広告を」。可愛いスタンプを多用したサイトのデザインとは異なり、みつみのイラストを大きく掲載した。上ケ市さんは「今回の受賞を通じ、被災地への関心が改めて喚起される一助となれば」。
審査評・尾形真理子さん
【審査評】尾形真理子(クリエーティブディレクター) 忙(せわ)しない朝に新聞をめくっていると、ふいに空気が変わるときがある。ひとりの女性による静かな告白に、一瞬でひき込まれていく。トルソーと向き合う姿からは、それが彼女の日常であることが伝わってくる。稲葉賀惠さん。日本を代表するファッションデザイナーであり、その表情には穏やかな凄(すご)みのようなものが滲(にじ)んでいる。yoshie inabaのブランド広告かな?と読み進めると、思いがけない告白に驚くこととなった。こんなにも美しいブランドの終焉(しゅうえん)があるだろうか。43年間の姿勢と熱量を体現する、まさにタイムレスな原稿だった。
審査評・辻愛沙子さん
【審査評】辻愛沙子(クリエーティブディレクター) 「スキップとローファーと能登」は紙面が起点となり、デジタルの場が、日本中に溢(あふ)れる能登への応援の声を受け止める器となり、出版社と生活者の思いが媒体を越え繫(つな)がった、まさにデジタル〝連携〟だからこその施策でした。他の作品からも感じたデジタル連携の可能性のひとつに、〝社会的意義のあるテーマとの相性〟があります。社会的なテーマこそ、応援の声を可視化していくような施策設計が生きてくるのだと改めて感じます。広告は企業やブランドだけではなく、生活者のものであり社会のものなのだと再認識させてくれる作品群でした。
朝日広告賞サイト(<a href=”example.html”>https://www.asahi-aaa.com/</a>)でも、受賞作品のほか、受賞者や審査委員のインタビューなどを掲載予定です。
受賞社一覧
〈新聞広告の部〉
●朝日広告賞(賞状、賞杯と副賞100万円)1点
◇テーワイプランニングルーム〈タイムレスを作り続けて43年。〉企画/マスターマインド、辻デザイン室 制作/辻デザイン室
●準朝日広告賞(各賞状、賞杯と副賞30万円)3点
◇大塚製薬〈ポカリスエット 甲子園煙突広告14点シリーズ〉 企画・制作/古川裕也事務所、電通、なかよしデザイン、(つづく)、ドリル、ジェ・シー・スパーク、ピクス
◇ルミネ〈ルミネライフバリュー広告4点シリーズ〉企画/ジェイアール東日本企画 企画・制作/Tang、博報堂、CONNECTION/Headlight
◇三井住友海上火災保険〈「さぁ」企業新聞広告シリーズ11点シリーズ〉企画/電通、上田家 制作/ジェ・シー・スパーク
●部門賞(各賞状と副賞10万円)12点
【A部門】
◇講談社〈ヤングマガジン「煩悩一〇八連発広告」〉企画/博報堂 制作/スパイス
◇小学館〈100年目の、朝が来た。小学一年生創刊100周年〉企画/電通 制作/ジェ・シー・スパーク
【B部門】
◇「碁盤斬り」製作委員会〈碁盤斬り〉企画・制作/MR_DESIGN 制作/GEEK PICTURES
◇一澤信三郎帆布〈手からしか生まれない良さがある〉企画・制作/一澤信三郎帆布、朝日新聞社 制作/伊藤丙雄(東京工科大学副学長・教授)
【C部門】
◇キユーピー〈キユーピー マヨネーズ発売100周年広告「時の道」篇(へん)〉企画・制作/ライトパブリシティ 企画/タグボート
◇日本たばこ産業〈鬼のゆく道 登場篇〉企画/HASHI inc.、博報堂クリエイティブ・ヴォックス、博報堂 企画・制作/博報堂キャビン 制作/キャベツデザイン
【D部門】
◇タイガー魔法瓶〈「魔法のかまどごはん」防災の日〉企画/博報堂、旦(AKEGATA) 制作/博報堂プロダクツ
◇パイロットコーポレーション〈ペン一本あれば、世界を笑わせたり、泣かせたりできる。〉企画/電通 制作/アドブレーン、電通クリエーティブキューブ、電通クリエイティブフォース
【E部門】
◇リンテック〈かくれているのはリンテック ~OUT OF SIGHT,BY YOUR SIDE~12点シリーズ〉企画・制作/ディーイーシー・マネージメントオフィス
◇住友林業〈Good NeighborWood 森と人は、良き隣人になろう。3点シリーズ〉企画・制作/電通 制作/ジェ・シー・スパーク、JXL
【F部門】
◇東京女子大学〈正解がない時代に、問い続ける力を。シリーズ〉企画・制作/電通、TeTo inc.、UltraBlack Inc.
◇ヤマト運輸〈ヤマト運輸「地域のみらい」制作所〉企画/ADKマーケティング・ソリューションズ、navy 制作/navy
●審査委員賞(小枠出版広告賞)(賞状と副賞10万円)1点
◇KADOKAWA〈『いとこのこ』恋人より緊張する?〉企画・制作/KADOKAWA
●朝日新聞特別賞(各賞状と副賞20万円)3点
◇日本大学〈主役 ひとり、ひとり。〉企画・制作/オレンジ・アンド・パートナーズ、N35インターナショナル 制作/東北新社、デイリーフレッシュ、シグノ、FIGHT CLUB CO.,LTD.
◇イオン〈株式上場50周年 特別企画「イオンと植樹」〉企画/朝日新聞社、博報堂 制作/朝日新聞メディアプロダクション
◇国土交通省〈国土交通省・社会課題をテーマとした新聞広告活用の取り組み2点シリーズ〉 企画・制作/朝日新聞社 制作/アドレイ
●朝日新聞読者賞(賞状)1点
◇「碁盤斬り」製作委員会〈碁盤斬り〉企画・制作/MR_DESIGN 制作/GEEK PICTURES
〈デジタル連携の部〉
●朝日広告賞(賞状、賞杯と副賞100万円)1点
◇講談社〈スキップとローファーと能登〉企画/博報堂 制作/スパイス、GROVE
●準朝日広告賞(賞状、賞杯と副賞30万円)1点
◇サントリーホールディングス〈海薫るハイボールで、会いましょう。〉企画/Writing & Design、電通 制作/ピクス、ジェ・シー・スパーク
●優秀賞(各賞状と副賞10万円)2点
◇味の素〈フードロスラドリル〉企画・制作/博報堂 制作/東京アドデザイナース、白組、テー・オー・ダブリュー、クラウドサーカス
◇サントリーホールディングス〈サントリー天然水×ハローキティ「水と友だちになろう」〉企画・制作/電通
●朝日新聞読者賞(賞状)1点
◇講談社〈スキップとローファーと能登〉企画/博報堂 制作/スパイス、GROVE
審査委員
広告主参加
▽新聞広告の部・デジタル連携の部担当
川口清勝、辻愛沙子、戸辺久之
▽新聞広告の部担当 浅葉克己、尾形真理子、葛西薫、国井美果、小杉幸一、副田高行、田中里沙、中島信也、渡部薫
▽デジタル連携の部担当
石戸奈々子、箭内道彦、米澤香子
(順不同・敬称略)
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