「最優良炭」生んだ夕張の光と影 7年ぶりに坑道公開 市石炭博物館
「模擬坑道」内では凝ったレンガ積みも見られる かつて「炭都(たんと)」と呼ばれ、12万人近くが住んでいた夕張。炭鉱の閉山とともに町も衰退した。その光と影の歴史を学べる「夕張市石炭博物館」が人気を集めている。火災で閉鎖さ [...] The post 「最優良炭」生んだ夕張の光と影 7年ぶりに坑道公開 市石炭博物館 appeared first on Japan Today.

かつて「炭都(たんと)」と呼ばれ、12万人近くが住んでいた夕張。炭鉱の閉山とともに町も衰退した。その光と影の歴史を学べる「夕張市石炭博物館」が人気を集めている。火災で閉鎖されていた「模擬坑道」も今春、7年ぶりに再公開した。
夕張は道内の石炭の2割を産出していた。他の産地と比べて質が高く、「国内最優良炭」と称され、一時は市内に大小24の炭鉱があった。
再公開された旧・北炭夕張炭鉱の模擬坑道は、炭鉱夫の養成・訓練や見学用に使われていた。博物館や地下展示室の順路も合わせて540メートル。石川成昭(しげあき)館長(63)は「標準的なら60分、ゆっくり見るなら90分はかかります」と言う。
100年以上前に造られた坑道の中へ。れんが造りの重厚な入り口から階段を下るにつれ、空気がヒンヤリしてくる。壁の温湿度計を見ると、正午前でも気温15・6度、湿度62%。「地下なので一年中このくらいです。半袖・半ズボンだと寒い」(石川館長)。
「本物」の模擬坑道へ
地底へと進むと、本物の石炭の層が、今にも動きだしそうな採掘重機とともに黒光りしていた。
模擬坑道は2019年春、内部で起きた火災で閉鎖された。原因はわかっていないが、石炭層に燃え移り、鎮火に1カ月以上かかった。再公開するために、消火用スプリンクラーやセンサーを増強したという。
最後に80段の階段を上って地上へ出ると、眼鏡やカメラのレンズが一瞬で曇った。本館から歩き始めて100分近くが経っていた。
「『模擬』という名前ですが、実際に使われていた『本物』の坑道。一般の人が入れて石炭層に触れる、日本唯一の施設です。近代化を支えた炭鉱の歴史を五感で感じてほしい」。石川館長はそう話す。
博物館本館には、炭鉱会社のマークが入った食器や市内を走っていた鉄道の駅名標などが展示されている。地下展示室では、人力から大型重機へと進化していく採掘技術の変遷が、マネキン人形や機械で見てとれる。
夕張の炭鉱は、エネルギーの主力が石油に移り閉山。市は、1980年代のバブル景気にのって「炭鉱から観光へ」とリゾート施設を多く建て再起を図った。だがバブル崩壊後、維持費が市の体力をむしばみ、財政破綻(はたん)。今の人口はピーク時から95%減の約6千人、その半数が65歳以上だ(8月1日時点)。
入館料は中学生以上が1人1200円、小学生400円。開館時間は9月までが午前10時~午後5時、10月以降は午後4時。休館日は毎週火曜と11月上旬~4月下旬。
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