嵐とは何だったのか 平成の生きづらさを包んだ5人の「普通っぽさ」
国民的アイドルグループ「嵐」が、来春のコンサートツアーをもって活動を終えると発表した。活動休止から4年半あまり。再集結の報告とともに宣言された〝終わり〟は、多くのファンを動揺させた。 社会学者で「ジャニーズの正体」著 [...] The post 嵐とは何だったのか 平成の生きづらさを包んだ5人の「普通っぽさ」 appeared first on Japan Today.

国民的アイドルグループ「嵐」が、来春のコンサートツアーをもって活動を終えると発表した。活動休止から4年半あまり。再集結の報告とともに宣言された〝終わり〟は、多くのファンを動揺させた。
社会学者で「ジャニーズの正体」著者の太田省一さんは、嵐の魅力を「普通っぽさ」に見いだし、「平成の格差社会に寄り添う存在だった」と語る。時代とともに歩んだ5人の軌跡、そして「ポスト嵐時代」の男性アイドル像とは――。太田さんに話を聞いた。
- 「嵐」が来年春に活動終了へ 最後のツアーに向けて休止から再始動
――2020年12月末で活動休止していた嵐でしたが、このタイミングで、活動再開と終了を発表したことをどう見ましたか。
ファンクラブの動画を見ました。久しぶりの5人そろっての登場で注目が集まり、感傷的な雰囲気になっても不思議ではなかったのですが、自然体な姿が印象的でした。きちんと一人ひとりの言葉で伝えながらも、過度に気負うことなく、とても嵐らしいと感じました。
桜井翔さんから、1年半ほど前から折を見て5人で集まり、嵐の活動について話し合いをしていたという話がありましたよね。昨年11月でデビュー25周年を迎えていたわけです。節目に向けて活動する選択肢はあったが、5人のそれぞれの思いや考えを重視した結果だと思います。
誰か1人を「それは違うよ」と言って否定するのではなくて、5人が納得するのに時間がかかったのではないでしょうか。だから、5月という何かの節目ではないこの時期の発表になったのではないでしょうか。
「解散」ではなく「活動終了」の意味は
――芸能活動から遠ざかっていた大野智さんについてはどう見ましたか。また本人たちは「解散」という言葉を使っていませんでした。
大野さんからは「活動を再開したその先にまた再び休止に入るということは考えられませんでした」との話がありました。これは「事実上の解散にしてほしい」という本音にも聞こえました。
でも、「解散」という言葉を使わなかったことは理由があるようにも思えました。各メディアが報じているように、事実上の「解散」にはなり、解散は明言はしていない。もしかしたら、メンバーの誰かがいつか復活できないか、一縷(いちる)の望みにかけているのかもしれません。
――国民的なアイドルでもある嵐の最大の魅力は何だと考えますか。
一言で言えば、「普通っぽさ」です。
「普通」と言うと、ネガティブな意味にとらえられてしまう可能性がありますが、もちろん、全員が個性的で才能もある。嵐のことを「かっこいい」だったり、「歌やダンスがうまい」だったりと評価できますが、ただそれだけではない。ステージ上ではアイドルとして輝けますが、その上で普通っぽさがある。こうした特性を持ち、世代を問わず引き付けたアイドルは、唯一無二だと思います。
さらに「普通っぽさ」は、テレビという日常の中で接するメディアとの相性が非常によかった。視聴者にとって、すぐそばにいるような存在が、人気の大きな理由ではないでしょうか。
〝とがり〟のSMAP 〝丸み〟の嵐
――時代背景も関係しているのでしょうか。「普通っぽさ」のキーワードはAKB48にも通じます。
それはあると思います。戦後から高度経済成長、バブルまでは、「生活はこの先もっと豊かになっていく」ということが信じられました。それが1991年のバブル崩壊を境に社会に停滞感のようなものに覆われていった。「敷かれたレールにそのまま乗っていれば安泰」という時代ではなくなり、「個」として生きる道を切り開いていかなくてはいけない時代になった。特に2000年代になると、格差の問題も表面化してきて、「個」がどれだけ頑張るかが問われ、人々は生きづらさも抱えるようになった。
そんな時代背景の中で、アイ…
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