命名権、筑波大や茨城大、研究機関にも広がり「親しみやすさ」ねらう

不動産会社の名前などが入った看板=2025年7月1日、茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構、鹿野幹男撮影  施設に企業などの名前をつけるネーミングライツ(命名権)が大学や研究機関などにも広がっている。企業側の宣伝効 [...] The post 命名権、筑波大や茨城大、研究機関にも広がり「親しみやすさ」ねらう appeared first on Japan Today.

命名権、筑波大や茨城大、研究機関にも広がり「親しみやすさ」ねらう
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不動産会社の名前などが入った看板=2025年7月1日、茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構、鹿野幹男撮影
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 施設に企業などの名前をつけるネーミングライツ(命名権)が大学や研究機関などにも広がっている。企業側の宣伝効果をねらったものだが、施設の所有者は収入を得るだけではない効果を期待する。

 「お堅い」とみられがちな国立の研究機関の看板に7月、愛らしい象のキャラクターのイラストとともに、不動産会社の名が入った看板が掲げられた。

 基礎研究を担う茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK)。市内に本社がある「桂不動産」とネーミングライツ事業の契約を結んだためだ。

 契約金額は2028年6月30日までの3年間で、約200万円。期間中、研究内容を紹介する展示施設の愛称を「桂不動産KEKコミュニケーションプラザ」に変更する。KEKによると、国立の研究機関でのネーミングライツ契約は珍しいという。

 KEKは広告料収入だけでなく、親しみやすさもねらう。宇宙の起源や物質、生命の根源といった深遠な内容の研究だけでなく、科学好きな人材を育てることも目標にしているからだ。浅井祥仁機構長は「小さい子どもへの発信力を高めたい」。桂不動産の象のマスコットキャラクター「けいぞうくん」との連携にも期待する。

 同社は茨城県ともネーミングライツ契約を結んでおり、県内の水戸、つくば、取手3市の歩道橋にも社名を掲げる。

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 茨城大学は、同県日立市発祥の非鉄金属メーカー「JX金属」(本社・東京)と2023年11月に契約を締結。工学部がある日立キャンパス(日立市)最大の教室(296人収容)が「JX金属ホール」となった。

 さらに、水戸キャンパス(水戸市)を含めた教室や図書館の一部、多目的ラウンジなど5施設も、企業名を冠した名前になった。締結先の企業からは「学生の採用エントリー数が増えた」「掲示を見て説明会に来てくれた」などの声が寄せられた。

 筑波大学は大手シンクタンクの日本総合研究所(本店・東京)と契約を結び、課外活動や式典にも活用される講義室を27年4月30日まで「日本総研Lecture Room」の愛称とした。

 日本総研は、筑波大以外にも複数の大学と同じような契約をしていて「連携や採用面で、教員や学生に親しまれる企業になることもねらいの一つ」(担当者)だという。

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 茨城県は収入を得るため、2019年度から県有施設を活用して企業とのネーミングライツ契約を進めている。対象は7月1日時点で28施設。1億3863万円の収入だ。

 契約料が最も高い施設は県立カシマサッカースタジアムで、税込み1億6500万円(県の収入は半額)。最も低いのは県庁東公園の同20万円。県管財課によると、企業を募集する際に、利用者(来訪者)の数に応じて金額を設定しているという。

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