SNSのやり取り、捜査当局にどこまで提供? 刑事デジタル法が成立
電磁的記録提供命令の創設などを盛り込んだ刑事デジタル法(改正刑事訴訟法等)は16日の参院本会議で、賛成多数で可決、成立した。改正法は近く公布され、オンラインを通じたデータの差し押さえを可能とする提供命令は、公布から1年 [...] The post SNSのやり取り、捜査当局にどこまで提供? 刑事デジタル法が成立 appeared first on Japan Today.

電磁的記録提供命令の創設などを盛り込んだ刑事デジタル法(改正刑事訴訟法等)は16日の参院本会議で、賛成多数で可決、成立した。改正法は近く公布され、オンラインを通じたデータの差し押さえを可能とする提供命令は、公布から1年以内に施行される。
改正法のもとでは、警察や検察が裁判官の令状に基づき、IT事業者や容疑者・被告、事件の関係者らに対し、電子データの提供を命令する。1年以内の期限で、提供命令について漏らさないよう命じることもできる。正当な理由なく、提供や秘密保持の命令に違反すれば、1年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金と定める。
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自民議員「私的なやり取りも捜査当局が把握」
「LINEのやり取りの期間や相手方を特定して(命令を)出すのか。何月何日にやり取りしたという履歴だけなのか、『きょう何食べた?』『アイスクリーム三つ食べたよ』といった具体的な中身まで求めるのか」
自民党の古庄玄知氏は、15日の参院法務委員会で質問した。
法務省の森本宏刑事局長は「通信事業者に対し、メッセージアプリの通信履歴の提供を求める場合、通話の当事者のアカウントや期間によって(提供を命じるデータを)特定することが想定される。SNSのメッセージ内容についても、令状に記載された範囲で、提供命令の対象となり得る」と答弁した。
古庄氏は「やり取りの相手を限定して情報収集すればいいが、何月何日から何月何日のLINEのやり取りとなると、プライベートなやり取りも全部、捜査機関が把握できることになる」と指摘。「(容疑者にとって不利な内容を)自白を求める材料に用いる危険性が高いのではないか」と懸念を示した。
現行の類似規定、LINEヤフーは開示率98%
改正法が施行されたら、IT事業者はどう対応するのか。
現行の刑訴法にも「記録命令付き差し押さえ」という類似の定めがある。警察や検察が裁判官の令状に基づき、事業者などに命じて、捜査に必要なデータをUSBなどの媒体に記録させ、差し押さえることができる。ただし罰則はなく、秘密保持命令もできない。このほか、任意で協力を求める「捜査関係事項照会」もある。
LINEヤフーが運営するメッセージアプリLINEには、2024年上期に開示要請が2667件あり、開示率は98%。ほとんどが令状を伴う開示請求だった。
米グーグルや米メタも同様のデータを公開している。日本では24年上期に、グーグルが721件、メタが491件の要請を政府機関から受け、それぞれ約8割、約7割の割合で開示している。
TikTokを運営する中国企業バイトダンスには同期間に85件の法的要請があり、その4分の3で少なくとも一部のデータを開示した。電磁的記録提供命令の導入後について、同社は「ガイドラインに従い対応する」(広報)と回答した。
事業者が保有するSNSなどのデータは、これまでも高い割合で開示されてきたが、罰則付きの提供命令によって、より高い割合で開示されるようになっていくとみられる。
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