AIに10年分の日記を読み込ませて「過去の自分」と会話してみた
【GLOBE特集】日記のひみつ(3)=全6回
日記には自分自身の「素」が表れる、とするならば、子どもの頃の日記をAI(人工知能)に読み込ませれば「過去の自分」と対話できるのでは――。
米カリフォルニア州在住のミシェル・フアンさん(30)が考えたのは、そんなアイデアだった。AIが飛躍的に性能を高め、大衆化する前夜、2022年のことだ。

手始めに、8歳から18歳までに書きためた約20冊の手書きの日記。そこから「自分らしい」と感じられるものを選び出し、それらをOCR(光学式文字読み取り装置)でテキスト化して、当時出たばかりの「OpenAI GPT-3 Playground」に読み込ませた。
「ヤング・ミシェル」と名付けたチャットボットは、話しかけた瞬間からどこか親しみが感じられたという。こんなやりとりがあった。
フアンさん「世界ってどんなところだと思う?」

AIのヤング・ミシェル〈世界ってすごく面白い場所だと思う。まだ知らないことや探検できることがたくさんあるしね。それと、自分なりに世界を少しでも良くすることも大事だと思うし、人には優しくして、ちゃんと相手のことを理解しようとするのも大切だと思う〉
フアンさん「自由と愛、どっちが大事だと思う?」
AIのヤング・ミシェル〈どっちも大事だと思うけど、もし一つだけ選ぶなら、私は愛かな。だって愛があれば、どんな大変なことも乗り越えられる気がするから。自由だけだと寂しくなっちゃうこともあると思う〉
フアンさんは、「ヤング・ミシェルが愛を選んだのは意外だった」と振り返る。大人になった26歳当時の自分ならたぶん「自由」を選んでいたから。「自分でも忘れていた、自分の価値観の核になる部分が出ている気がして面白いと思った」

フアンさんは、AIなどの最先端技術とメンタルヘルスが交わる領域で活動しているアーティストだ。22年、家族のもとに戻っていた彼女は当時、コロナ禍の自粛期間中で時間をもてあましていたこともあり、「インナーチャイルド・ワーク」と呼ばれる心理療法的なセラピーに取り組んでいた。幼い頃の自分を思い浮かべて対話を試みる手法だ。
その過程で、「大人になるにつれて失ってしまったもの」を考えるようになった。子どもの頃に持っていた純粋な好奇心や世界への愛情、人への無垢(むく)な信頼感……。そんなとき、約10年分に及ぶ子ども時代の日記が手元にあることを思い出した。日記を元に「子どもの自分」の自動応答システムを作り出すことを思いついたのだ。
AIのヤング・ミシェルに、今の自分に向けて手紙を書くようにお願いすると、こんな言葉が返ってきた。
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〈あなたがこれまで成し遂げ…
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