足利将軍をもてなした御膳、当時のレシピ探り再現 和食展で模型展示
皿に高く重ねるように盛りつける京都調理師専門学校の学生ら 約500年前、室町幕府の将軍が祇園祭を見物した際のおもてなし料理を、京都府立大学と大和学園京都調理師専門学校で和食を学ぶ学生の有志がタッグを組み、再現に挑戦した [...] The post 足利将軍をもてなした御膳、当時のレシピ探り再現 和食展で模型展示 appeared first on Japan Today.

約500年前、室町幕府の将軍が祇園祭を見物した際のおもてなし料理を、京都府立大学と大和学園京都調理師専門学校で和食を学ぶ学生の有志がタッグを組み、再現に挑戦した。京都文化博物館で開催中の特別展「和食~日本の自然、人々の知恵~」のプロジェクトで、「足利将軍御膳再現模型」として紹介されている。7日には、学生らによる研究成果の発表会があった。
里芋を一番下に具材を積み重ねた雑煮、蒸してこんもり盛られた白飯、一見、不思議な形の板に載ったかまぼこ――。展示されているのは、室町幕府12代将軍、足利義晴(1511~50)が大永2(1522)年に祇園祭を見物した際に食べたとされる料理の再現模型。「初献(しょこん)」「御ゆづけ」「五献」の3献13品で、盛りつけも学生たちの考証の結果だ。
将軍御膳の再現は、和食展京都会場の企画。京都の風物詩「祇園祭」にちなみ、同館の橋本章・学芸課長が発案した。室町時代、将軍が祇園祭の山鉾(やまほこ)巡行を見物する際、都大路の桟敷席で有力大名が接待したという。再現の元となった史料「祇園会御見物御成記」には、足利義晴が祇園祭を見物した時に出された料理15膳52品目が記されている。
ただ、分かるのは、当時の料理名とわずかな食材名だけで、調理法や味など肝心の部分は謎だらけ。まず、京都府立大学和食文化学科の学生ら11人が一昨年秋から様々な文献資料などを参考に読み解きを始めた。歴史学は専門ではなく、文献の崩し字解読に苦労しながらレシピを検討。昨年4月からは京都調理師専門学校の学生ら12人が加わり、検討会や2度の試食会を経て料理を完成させた。
再現にあたって意識したのは、当時の調味料や食材、調理方法。京都府立大学のプロジェクトリーダーの小川航典(こうすけ)さん(24)によると、当時、砂糖は大変貴重で、しょうゆも近いものはあったかもしれないが、両方使用しなかったという。一方、みそは普及していたとし、だしも、今の鰹(かつお)節の形ではないと思われるものの、カツオと昆布を使っていたのではと考えたという。
現代では食材に利用できない「ひばり」は鶏肉を使うなどして工夫。考古学の専門家にも聞き取るなどして、膳の大きさや器、かまぼこ板の形、料理の下に敷く葉など、盛りつけまで決めていった。
様々なハードルがある当時の料理の再現。調理も味つけもシンプルで、現代の「おいしさ」を目指して学ぶ京都調理師専門学校の学生らにとっても難しい挑戦だったようだが、昨年12月、展示用の料理が完成した会では、「おいしい」という声が関係者から上がった。
調理にあたった丸山貴之さん(28)=当時、同校和食・日本料理上級科2年=は「最初は戸惑いもあったが、今回でしか得られない貴重な経験。『再現』自体がとても面白く感じたので、今後、何かをモチーフにした料理作りなどに生かしていきたい」と話していた。
料理の考証にあたった京都府立大学の東(ひがし)祥太郎さん(21)は「一つの『食』を考える上で、レシピだけでなく、盛りつけや意味づけなど、いろいろな分野の視点が必要と分かった。文献や出土例などで謎解きがはまっていくおもしろさもあった」。小川さんは「専門ではない学生たちが力を合わせて将軍御膳の再現に取り組んだ。研究途上であることを踏まえて展示を見てもらえたら」と語る。
将軍御膳の展示は京都会場のみ。会場では、再現料理の1品「まんぢう」レシピのQRコードも掲示している。
- 京の食卓 何食べる? レシピ検索 特別展「和食」で都道府県別紹介
特別展「和食」 7月6日まで京都文化博物館で
◇7月6日[日]まで、京都文化博物館(075・222・0888)。午前10時~午後6時(金曜は午後7時30分まで)。入場は閉室の30分前まで。月曜休館
◇一般1800円、大学・高校生1400円、中学・小学生600円。詳細は展覧会公式サイト(https://washoku2023.exhibit.jp)、または京都文化博物館サイト(https://www.bunpaku.or.jp)
主催 京都府、京都文化博物館、朝日新聞社、MBSテレビ
後援 文化庁、農林水産省、和食文化学会、和食文化国民会議、京都府観光連盟、京都市観光協会、KBS京都、エフエム京都
協賛 キッコーマン、三和酒類
特別協力 国立科学博物館
協力 クックパッド、京都府立大学京都和食文化研究センター、大和学園京都調理師専門学校
和食をモチーフ 様々なグッズも
会場特設ショップでは、和食をモチーフにした様々なグッズを展開。出品物に関連した京都会場オリジナルグッズもあり、人気の地ダイコンのレプリカ展示にちなんだ「守口大根の奈良漬(づけ)」(税込み918円)や、古代の甘味料「甘葛煎(あまづらせん)」展示にちなんだ「甘葛風シロップ」(同1500円)を販売中です。※在庫には限りがあります。ご了承ください。
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