「国際秩序を共に維持」韓国大使が呼びかけ　日韓国交正常化60年

　1965年の日韓基本条約に伴う両国の国交正常化から今年で60年になるのを記念する行事が7日、東京都内の駐日韓国大使館であった。額賀福志郎衆院議長や中谷元防衛相、阿部俊子文科相、両国の政府・ビジネス関係者ら約120人が出席。朴喆熙（パクチョルヒ）駐日大使が「揺らいでいる国際秩序を共に維持する関係でなければならない」と述べ、さらなる協力強化を呼びかけた。

　「韓日国交正常化60周年を支える会」と名付けて韓国大使館が主催。あいさつに立った中谷防衛相は「韓国は我が国にとって安全保障上、最も重要」とし、「（正常化から）60年の今年も日韓防衛当局間の交流を密接に図っていく」と述べた。

　元朝日新聞主筆で公益財団法人「国際文化会館」のグローバル・カウンシルチェアマンを務める船橋洋一氏と朴大使の対談もあった。

　船橋氏は、「米国第一」を掲げるトランプ米政権の発足で米国内のポピュリズムが日韓を含む各国に波及し、歴史や領土をめぐって両国関係が再度緊張する可能性があると指摘。「（両国の）政治家が長期的な国益を見据える責任が高まっている」と述べた。

　一方、朴大使は日韓両国について、北朝鮮など周辺国の脅威に対応して地域の安全を守る責任に加え、自由で開かれた国際秩序を守ることの利益を共有しているとした。今後の安定した日韓協力について「片方の努力だけではできない。お互いに認識を改善して、相互理解を深める姿勢が大事だ」と呼びかけた。

　これに先立つ冒頭のあいさつで、朴大使は尹錫悦（ユンソンニョル）大統領が「非常戒厳」を出したことに伴う国内政治の混乱を念頭に「韓国は政治的な激動に直面している」と言及した。その上で、「韓国の国内状況にもかかわらず、韓日関係、韓米日協力を強調する韓国政府の基調に何ら変化はない」と強調。両国関係を安定的に維持していくことの大切さをにじませた。