T型フォードの頃から雨が天敵 それでも冠水の中を車で走りますか

連載コラム「長考一番」 朝日新聞コラムニスト・山中季広
このコラムは……
何かと慌ただしい毎日、ニュースの消費サイクルも分単位に。そんな時代だからこそ、本社コラムニストの山中季広編集委員があえて長い時間軸で過去と現代を見つめ、迫り来る未来を考えます。
からりと晴れた日なのに、ズラリと並ぶ豪雨被災車の室内はなお水分が過剰なまま。車という車の窓ガラスが内側だけ水滴に覆われ、ドアを開ければ強烈なカビ臭が……。
千葉県一帯を今年3度襲った豪雨を受け、日本自動車リサイクル事業協同組合(NGP)が船橋市内に開設した臨時ヤードを訪ねた。修理を断念した車が200台余り。

「雨に洗われて外観はピカピカですが、どれも『全損』と認定された車。保険の調査も済み、いずれ1台残らず解体されます」。そう話すのは「廃車王」船橋店を経営するNGP副理事長の牛場健次さん(52)。ナンバープレートが変に曲がっているのは冠水した道を走った跡という。
千葉県ではお盆の豪雨、秋雨前線による大雨、印旛沼の堤防を決壊させた台風と災害が続いた。「被害が最も激しかったのは第1波。レッカー車の出動依頼が集中し、他県の仲間に応援を頼みました」
かつて主流だったマニュアル車なら、故障しても数人で押せば道端へ動かせた。だが細部まで電子制御された近年の車は、故障するとレッカーなしでは移動できない。
「いまの車は電気装置とコンピューターが全身ぎっしり。降雨には強くても、冠水には弱いのです」。残置車両の写真をスマホで何枚も示しながら牛場さんは話した。
安置されて解体を待つばかりの車の葬列に寂しさを覚えつつ、札幌市の北海道科学大へ向かった。100年も前の米フォード車を再生させたことで知られる。開発初期の車の「防水力」がわかるかもしれないと考えた。
【動画】T型フォードを修理してエンジンを始動させる北海道科学大の佐藤大聖さん=山中季広撮影
T型フォード再生プロジェク…
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