西洋とアラブと フランスの漫画家が開く中東への窓

高い評価を得た自伝漫画シリーズ「未来のアラブ人」に書店でサインをするリアド・サトゥフ氏=2024年12月23日、仏レンヌ、ニューヨーク・タイムズ A French Cartoonist Draws a Window In [...] The post 西洋とアラブと フランスの漫画家が開く中東への窓 appeared first on Japan Today.

西洋とアラブと フランスの漫画家が開く中東への窓
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高い評価を得た自伝漫画シリーズ「未来のアラブ人」に書店でサインをするリアド・サトゥフ氏=2024年12月23日、仏レンヌ、ニューヨーク・タイムズ

A French Cartoonist Draws a Window Into the Middle East

 昨年12月のある日の夕方、反体制派がシリアの(首都)ダマスカスに進軍する中、独裁者バシャール・アサド大統領は国外に逃亡した。それから3日後、フランス国内で最も視聴率の高いニュース専門テレビ局の一つが、このニュースに関する専門家の意見を求めて、ある漫画家に尋ねた。

 「事態がこれほど早急に動きうると思っていたか」と、BFMTVのニュースキャスターは質問した。答えるのは、巨大なビデオウォールに笑顔が映し出された、漫画家のリアド・サトゥフ氏(46)だ。

 サトゥフ氏はここ10年で、代表作の自伝漫画シリーズ「未来のアラブ人」で広く知られるようになった。今ではフランスで最も著名なスターの一人だ。作品は全6巻のグラフィックノベルで、中東とフランスとの間で引き裂かれるように過ごしたサトゥフ氏の幼少期と、フランス人の母とシリア人の父との結婚生活の破綻(はたん)について描いている。

 この本は、フランスで「バンド・デシネ」(漫画)と呼ばれるジャンルに属する。300万部以上を売り上げ、23ほどの言語に翻訳されている。子ども目線で語られ、一見シンプルなスタイルで描かれているものの、西洋とアラブ世界の相性に関する最も厄介な問題[thorniest questions]にもいくつか触れている。作品には、繊細ながらも辛辣(しんらつ)な社会風刺がちりばめられてもいる。

 サトゥフ氏のこの姿勢は、彼自身の芸術作品だけでなく、彼の世界観にも反映されている。昨年12月のテレビ出演でサトゥフ氏は、アサド大統領の失脚はシリアにとって「大きな希望」の瞬間だ、と視聴者に語った。しかし次に何が起こるだろうか、との問いには、自分は「極めて悲観的に」物事を捉える傾向があると念を押した上でこう述べた。

 「私は祈っている。ひどい独裁政権が、別の独裁政権に取って代わられることのないように、と」

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「未来のアラブ人」には何が描かれているのでしょう。そしてなぜサトゥフ氏は描き始め、どんな漫画を描いてきた人物なのでしょうか。インタビュー後半ではサトゥフ氏の足跡をたどります。

 サトゥフ氏はフランス生まれ…

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