【社説】遅すぎたガソリン補助金の縮小 「出口」への道筋を明確に

この社説のポイント
●高市首相がガソリン補助金の縮小を決めたが、判断は遅すぎた
●予算規模は累計で10兆円を超える。省エネ、脱炭素にも反してきた
●「出口」への道筋を明確に示す必要がある。効率の悪い一律支援に頼り続けるのは、政府の怠慢ではないのか
物価高の負担を和らげる政策は、必要な人に対象を絞った深い支援が求められる。しかし、一律補助のガソリン補助金はその対極にあり、高市早苗首相の縮小判断は遅すぎた。「出口」への道筋を明確に示さなければならない。
補助金で抑える価格の目標を12月から春先に向けて、現在の1リットル170円程度から、月5円ずつ引き上げていく方針。同じ12月から3カ月は、高止まりが続く電気・ガス料金への補助を再開する。
ガソリン補助金は、2022年に時限的に始まった。ガソリン税の旧暫定税率の廃止に伴い25年末に打ち切られたが、中東情勢の悪化による原油価格の高騰を受けて26年3月に復活。170円程度という目安より価格が上昇すれば、補助額は増える。
効率悪く、予算は累計で10兆円超
原油価格の高止まりで足元の補助金は1リットル50円を超え、過去最高水準で推移する。首相によると、1日100億円超のペースで使っていて、予算規模は累計で10兆円を超えた。27年4月から予定する2年間の食料品の消費税減税の財源に相当する額だ。
恩恵は高所得者や好業績の企業にも及び、効率が悪い。中東情勢の先行きが見えないなかで価格を人為的に抑え、ガソリンの使用量を減らす動機を弱める。地球温暖化を抑えるための脱炭素にも、反する。社説は再三、一律の価格抑制ではなく、負担が大きい企業や個人に絞った支援への転換を求めてきた。

縮小にかじを切ったとはいえ、高市首相は肝心の出口を「予断をもって申し上げることはいたしません」と語らない。自ら「緊急的激変緩和措置」と明言した政策であれば、どんな条件で補助を終えるのか、明らかにする必要がある。定額補助への切り替えなどを経て打ち切るべきだ。
同時に、移動を車に頼る地域に住む人や、公共性の高い交通を担ったり、価格転嫁が難しかったりする業者など、絞り込んだ対象への持続可能な支援を検討してほしい。
電気・ガス料金への補助も、所得にかかわらず恩恵が及び、省エネの動機を弱めるという同じ問題がある。物価高対策を、多額の税金を投入する効率の悪い一律支援に頼り続けるのは、政府の怠慢ではないのか。
財政悪化への懸念で金利が上昇したり、円安が加速して物価が高止まりしたりすれば、国民生活にはむしろマイナスだ。政権は「積極財政」を掲げるが、重要なのは財政出動の積極性ではない。支援が必要な人を、いかに効率よく支えるか。そのための政策を吟味することだ。

- 高市首相、ガソリン補助金の縮小を表明 12月から5円ずつ引き上げ
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