ベトナムの「竹外交」、「世界で最も多くの戦争を経験した国」の知恵
ベトナム戦略研究・国際関係開発センター所長のグエン・マン・フン博士=2025年2月27日、ハノイ、牧野愛博撮影 4月30日はベトナム戦争終結50周年です。日越両国は米国と戦いましたが、戦後の日本は日米同盟を、ベトナムは [...] The post ベトナムの「竹外交」、「世界で最も多くの戦争を経験した国」の知恵 appeared first on Japan Today.

4月30日はベトナム戦争終結50周年です。日越両国は米国と戦いましたが、戦後の日本は日米同盟を、ベトナムは自主独立路線をそれぞれ選びました。ベトナム戦略研究・国際関係開発センター所長のグエン・マン・フン博士(国際関係)は個人の考えとしたうえで、「日本とベトナムは歴史も背景も異なるため、一概にどちらが良いとは言えない」と語ります。
- なぜ、ベトナムは米国に勝てたのか 識者が振り返る半世紀前の戦争
――ベトナムと米国は戦後、緊密な関係を築きました。
米越関係は1995年に正常化し、2023年9月にはバイデン米大統領(当時)が訪越して、両国の関係を「包括的戦略パートナーシップ」に格上げしました。ベトナム戦争では多くの人が亡くなり、戦後もベトナムでは枯れ葉剤による後遺症が、米国でも行方不明米軍兵士問題が、それぞれ残りましたが、お互いに解決に向けて努力してきました。現在、両国は気候変動のように利益が一致する問題で協力しています。
――「竹外交」と呼ばれるベトナム外交の特徴を教えてください。
三つの特徴があります。第一は「竹は根が丈夫」という点です。「竹外交の根」とは民族の利益を第一に考えるということです。第二に「竹の幹もしっかりしている」という点です。ベトナム外交は独立、自主、平和、共同発展という方針を掲げました。ドイモイ(1986年からのベトナムの市場経済導入政策)以降、この路線は変わっていません。第三に「竹の枝はしなやか」という点です。民族利益第一主義と自主独立などの路線は守りながら、柔軟な外交を展開します。これは、(都度、態度を変えて力の強い側につくという)機会主義とは異なります。
――経済がグローバル化した現代で、竹外交は効果を発揮しそうです。
現在、(思想信条が異なる)陣営同士がデカップリング(分離)することは容易ではありません。ベトナムは民族利益第一主義を掲げて米中ロ3大国との関係をつくります。特定の国は選びません。だから、2023年から24年にかけ、3カ国の大統領や国家主席がベトナムを訪問したのだと思います。
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